2014.8月号より

『 アルツハイマー病・認知症 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


 日本の認知症の患者は推定で550万人、高齢者の約18%を占める一方、認知症の予備軍の軽度認知機能障害(MCI)は310万人ともいわれている。認知症は高齢者に多い病気だが、最近は18〜64歳の若年の認知症(アルツハイマー病)が増えている傾向がみられ、人生の活動期だけに本人のみならず家族にとっても社会にとっても大問題であろう。もはや誰もが認知症になる可能性がある事を意識して、生活習慣を見直す必要がありそうだ。
 アルツハイマー病の原因
 認知症の50%はアルツハイマー型、20%が脳血管性、レビー小体型が20
%。アルツハイマー型はβアミロイド蛋白質が脳の神経細胞に蓄積し、神経細胞が破壊され、脳が委縮し、脳の働きが低下するもの。脳血管性のものは脳の血管が詰まることに原因する痴呆。レビー小体型は大脳皮質にレビー小体がみられるもので、パーキンソン徴候を伴うタイプ。
 アルツハイマー病の経過
 「人や物の名前を忘れる」→「日付が分らなくなる」「薬の管理が出来なくなる」→「自分のいる場所が分らなくなる」「徘徊する」→「家族や人が分らなくなる」→「寝たきりになる」これらの変化が数年〜10数年かけて進行する。
 一方、物の名前が出てこない等年齢の割にもの忘れが目立つものの、料理が作れ、身だしなみがきちんとしている等生活に支障がない場合は軽度認知障害で、認知症ではない。しかし放っておくと1年に10%程度が認知症に移行する可能性はある。
 軽度認知障害の症状
 最も初期の症状は学習能力が落ちて新しい事を覚えられない。論理的な思考力がなくなり、人や物の名前が出なくなる。ただしヒントを与えると思い出したりする場合等は記憶機能は保たれているので、単純なもの忘れの事が多い。
 またある目標に対してプランを立てたり、スケジュールを立てたりする事が出来なくなる。家事や仕事の段取りが上手く出来なくなる。字が下手になったり、捜し物が多くなる。おしゃれをしなくなったり、同じ事を何度も聞いたり、云ったりする。置き忘れやしまい忘れが目立つ事などが初期症状である。
 アルツハイマーの症状
 何度も同じ事を言う、同じ事ばかり聞く、以前熱中した事に関心を示さなくなる等はアルツハイマー初期の事が多い。
 顔は分かるが名前が出てこない、別の部屋に行って何をしに来たか分からなくなり、元の部屋に戻ったら思い出す、物をどこに置いたか忘れる等、知っているのに思い出し難い等で、ヒントがあれば思い出す事が出来るのは加齢によるもの忘れで問題はない。
 アルツハイマー病の場合では昼食を食べた事を忘れてしまう、数分前の事を忘れる、同じ事を何度も聞いたり、自分が話した事を忘れ、何度も同じ話をする。今日が何月何日か、住所等を忘れる、帰り道を忘れる。どこに居るか分からなくなるなど判断力が低下し、忘れた事も自覚しなくなる。
 アルツハイマーの予防
 アルツハイマー病の治療の研究は進んではいるが、現時点では発症を止めたり、回復させる事はできない。診断確定後5〜10年、或は命ある期間、家族にもたらす精神的・身体的・経済的負担の大きさは計り知れないものがある。予防の努力は必須。ジョギングやウォーキング等汗が出る程度の運動の継続は発症を遅れさせる。また生活習慣病にならない食生活も予防策となる。赤ワインのポリフェノールが有効との説もあるが、飲み過ぎは逆効果なので御用心。