2014.4月号より

『 高血圧 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


 日本の人口の約三割、三千五百万人位の人が高血圧と推定され、国民病と称されている。高血圧は脳卒中や心筋梗塞など重篤な疾患につながり易いので放置しておくのは大変危険。
 高血圧学会の新指針
 日本高血圧学会は高血圧治療ガイドライン(JSH2014)を提示した。それによると若年、中年の降圧目標を140〜90mmHg未満とし、確実にその達成を目指した点が注目される。家庭血圧を重視し、病院の診察室での血圧と家庭血圧が異なる場合には家庭血圧による診断を優先するとしている。成人の高血圧の基準値は診察室血圧140/50mmHg、家庭血圧135/85mmHg以上とした。
 上の血圧、下の血圧とは何か
 血圧とは血液の流れが血管の壁を押す力の事。心臓から勢いよく拍出された時の圧力が最高血圧、いわゆる上の血圧。心臓の収縮が終わり、膨らんだ大動脈から絞り出された血圧が最低血圧、いわゆる下の血圧。大動脈は弾性があるので心臓が血液を押し出すと膨らみ、血液を溜め、絞り出す。
 血圧の日内変動
 血圧は一日中同じ値を保っているわけではなく、様々な要因で上がったり下がったりする。一般的に血圧は睡眠中には最も低く、起床前から起床後に上がる。そして夕方から夜にかけて下がるという一定のリズムで変動している。この日内変動には自律神経の働きが大きく関わっている。朝から昼間にかけては身体を活動的な状態にする交感神経の働きが強くなるため血圧は高く、逆に夜間
・睡眠中は体を休めるように働く副交感神経の働きが強くなるため血圧は低くなる。従って毎日定時的に測れる家庭血圧は重要な診断根拠となる。
 家庭血圧の測り方
 家庭用血圧計には多くの種類があり、手首、指、上腕で計るタイプがある。一般的な厚労省のガイドラインなどで勧めているのは上腕で測るタイプ。
 実際の血圧測定は
 @起床後一時間以内、朝食や薬(降圧剤など)を服用する前に測る。
 A排尿を済ませてから測る。
 B座った態勢で一〜二分安静にしてから測る。
 C夜は寝る前に、座った態勢で一〜二分安静にしてから測る。
 D朝と夜の二回測る。忙しい人は朝だけでも良い。
 家庭での毎日の測定結果の記録は貴重なデータの蓄積で、病院での診断に非常に役立つ。
 家庭血圧が役立つ実例
 @仮面高血圧
 治療が必要にも関らず発見されにくい仮面高血圧。病院の診察室で測ると正常なのに、家庭や職場で血圧が高い状態をいう。正常血圧の仮面をかぶった隠れ高血圧という意味。
 仮面血圧には二種類ある。ひとつは健診等でも見逃され、本人も自覚がないタイプ。原因は職場や家庭での強いストレスやタバコ。血圧測定の順番を待つ間にストレスから解放されてリラックスしたり、外来受診で一定時間タバコを吸わない事等で血圧が下がる為に発見されにくい。
 もう一つは治療で降圧剤を内服しているのに夜間の血圧が充分下がらず、早朝に血圧が急上昇するタイプ。白衣高血圧に比べ、脳卒中や心筋梗塞のリスクが三倍も高い。
 A白衣高血圧
 病院の診察室では血圧が高血圧レベル(140/90mmHg以上)でも、家庭血圧がレベル未満の正常血圧であるケース。ここで大切となるのが家庭血圧の測定。
 家庭血圧はむしろ病院血圧より健康管理には役立つ事を強調したい。