2014.3月号より

『 サルコペニア 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


 サルコペニアとは
 人間の筋肉量は40歳を境に徐々に減少し始める。その減少速度は加齢に伴って加速し、60歳を過ぎると年間5%も筋肉量が減少するケースもみられる。加齢によって筋肉量が著しく減少する現象をサルコペニアと呼ぶ。ギリシャ語で「サルコ」は筋肉、「ぺニア」は減少を意味する。アメリカではサルコペニアは健康リスクのトップ5に認定され、高い関心が寄せられている現状。
 サルコペニアの原因
 筋肉は運動による刺激やタンパク質、アミノ酸等の摂取によって維持、増加する。成長期には筋肉の合成と分解のバランスがプラスとなり、十分な量のタンパク質の摂取により更に筋肉は増加していく。一方高齢者においては運動量の減少に加え、タンパク質の摂取量も減少する傾向があり、その為に筋肉の合成量が低下、合成と分解のバランスが崩れ、筋肉量は減少する傾向が現れる。
 サルコペニア肥満
 サルコペニア肥満は筋肉量の減少と肥満が合併した状態。この2つの要因は様々な生活習慣病をもたらすリスクがかなり高い。筋肉量は20代をピークに40代以降では年平均1%の割合で徐々に減少、40代以降では用心が必要。40代以降ではサルコペニア肥満はその予備軍も含め4人に1人に認められるともいわれている。
 サルコペニア肥満のチェック法
 サルコペニア肥満は2項目でチェックする。@BMIが25%以上は肥満とされる。A体重に占める体を動かす骨格筋の割合、筋肉率が男性27.3
%以下、女性22%以下では要注意。市販の体組成計で計る事ができる。筋肉率が測定できない場合は@片足立ちで靴下が履けるかどうかA椅子に座り、片足で立てるかどうかB片足立ちが60秒できるかどうか。一つでも当てはまる場合は下半身の筋肉が低下している可能性がある。
 またサルコペニアの診断基準としては筋肉量減少、筋力低下は握力が男性30s未満、女性20s未満で該当する。身体機能低下は歩行速度が1分間5q未満等が挙げられている。
 サルコペニアの予防と治療
 老化を抑えるためには基本的には「栄養」と「運動」が極めて重要な要素。筋肉は運動による刺激やタンパク質、アミノ酸の摂取により維持、増加する。特に食事では筋肉を作るのに欠かせないBCAAがポイント。BCAAとはバリン、ロイシン、イソロイシンの3つの必須アミノ酸をまとめた呼び名で、筋肉を作ったり、修復したりする働きをしている。
そのBCAAを豊富に含む食材はまぐろやかつを等赤みの魚、レバー等赤みの肉、大豆製品、牛乳等に多く含まれる。またBCAAを効率よく摂る為にはビタミンB群が必要で、ごま、きなこ、豚ひれ肉、玄米等が挙げられる。
 筋力が特に衰えやすい下半身を鍛える筋トレとしては次の3つの運動が効果的。@スクワット―足を肩幅に広げ、椅子に腰かけるように膝を90度に曲げ、3秒かけて座り、3秒かけてゆっくり戻る。Aもも上げ―左右交互に1秒くらいかける。Bつま先立ち―3秒かけてゆっくり上下する。
 最近注目されてきたのが加圧トレーニング。日本で40年以上の開発期間を経て開発された。腕または足の付け根を空気圧加圧ベルトで加圧し、適当な血流制限下で運動を行う。短時間、軽い付加で筋肉の肥大効果が得られる。この方法はオリンピック選手の強化トレーニングとしても実績があり、最近はリハビリや医療現場でも応用されている。サルコペニアやロコモティブ症候群に応用され、健康寿命の延長に役立つものとして注目されている。