2014.2月号より

『 ロコモ―からだの骨格と筋肉B 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


 ヒトの体の仕組み
 ヒトは環境の変化に合わせ、直立二足歩行を始め、それに適した形で足、骨盤、背骨等の骨格が進化、併せて筋肉も発達してきた。直立二足歩行は四つ足歩行に比べ不安定で、関節と筋力を使って体のバランスを保つ必要がある。骨が丈夫で筋力が十分ある若い時は問題ないが、50歳を過ぎる頃になると、骨と骨の境にある軟骨、椎間板の変性が進み、更に筋肉も落ちてきて、その共同作業のバランスが崩れてしまう。
 骨格と関節の役目
 ヒトは類人猿に比べ、足が長くなり、骨盤も横に広くなった。足の土踏まずのアーチや背骨のSカーブ変曲は、体の重みや動きから生ずる衝撃を吸収し和らげる構造になっている。ヒトは頭を高い位置に置き、できるだけ揺らさず、視覚からの情報を素早く正確に得ているが、このような姿勢や直立二足歩行は膝や腰への負担を大きくしている。体を動かすためには骨と骨の間につなぎ目が必要。手足では関節、背骨では椎間板がこの部分に当る。衝撃の吸収を担っている椎間板が傷んで後ろ側に飛び出し神経を圧迫するのが椎間板ヘルニア。
 最近テレビコマーシャル等でプロテオグリカン、コンドロイチン硫酸、コラーゲン等の名前がよく見られる。これらの物質は肌の保湿効果や軟骨等に良いと宣伝されている。しかしサプリメントとして関節、軟骨の健康に効果があるかどうかについてはいまだ一定の見解は得られていないのが現状。
 適度な圧がないと劣化する軟骨
 関節をほとんど使わないと関節軟骨が減ってしまう。麻痺のため足が使えなくなった人では足の軟骨は減ってしまう。衝撃を吸収するためにも軟骨の厚みが必要で、その厚みを維持するためにも日頃からある程度使っていることが大切。
 大腿骨頚部骨折
 年齢が上がるにつれて大腿骨頚部骨折が起るケースが増えている。室内でも転倒した場合手をうまくつく事が出来ず、転んだ衝撃を直接足の付け根に受けて骨折してしまう。転倒は筋力や体のバランスを保つ機能が低下したもので、更に骨粗鬆症による骨のもろさも原因する。
 変形性腰椎症
 年齢とともに背骨の椎間板が変性してくる疾患は変形性脊椎症。腰椎に変形が出た場合は変形性腰椎症。これが更に進行して、神経の通路が狭くなり、神経の圧迫症状が出たものが脊柱管狭窄症。
 腰部脊柱管狭窄症
 脊柱管とは背骨(脊椎)の中を頭から背骨の先まで走る細長い管状の空間。重要なのはその中を神経が走っている事。脊椎の中にある脊髄から神経根が伸びて、脊柱と脊柱の間を通り決まった部位に枝状に広がっていく。脊髄は第一腰椎あたりまでで、それより下は馬尾神経と呼ばれる神経の束が腰椎の間を通って足全体へ広がる。人間が直立二足歩行をするようになったため腰の中でも特にストレスが集中するのが第4〜5腰椎のあたり。
 脊柱管狭窄では直立して歩くと足がしびれ、歩けなくなり(間欠性跛行)、前かがみの姿勢や背中を丸くすると脊椎管が広がり、再び歩けるようになるのが特徴。血管系のトラブルでは閉塞動脈硬化症は足の動脈がつまったり、狭窄するケースで、体の姿勢に関係なく、常に歩行障害をもたらす。往々にして両者は合併して起るので要注意。
 50歳以上になるとロコモになる人が増える背景を理解し、ロコモにならないように普段から気をつける必要がある。意識して身体を動かす努力をしてみませんか。