2013.12月号より

『 ロコモ―新国民病@ 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


ロコモとは
 ロコモとは「ロコモティブシンドローム」の略、「運動器症候群」と呼ばれる。日本整形外科学会が平成19年に提唱したもの。元来ロコモティブは機関車という意味もあり、能動的なニュアンスがある。運動器には骨や筋肉、腱や靭帯、神経等が含まれ、文字通り運動に関わる器官。

50代以降で急増するロコモ
高齢化に伴って、この運動器の具合が悪い患者さんが増えてくる。実際には30代、40代と少しずつ膝の軟骨や腰の椎間板等に変化が起ってくるが、ほとんどの場合、自覚症状を伴わず、一寸無理をした時等に具合が悪いと感じるだけの為、一時的なものと考え放置しているケースが多い。50歳を過ぎた頃から、骨格を支える筋肉の衰えなどに合わせて、軟骨の変性が進行して急に症状が現れ、日常生活にも支障が出てくることが多い。

ロコモは高血圧と同じ位多い
ロコモの症状を有する人は50歳以上で4千7百万人と推定され、高血圧4千万人を上回っている位多い。統計によれば50歳以上で腰のトラブルは男性83%、女性68%、膝のトラブルは男性44%、女性65%とかなり多い。関節障害や転倒、骨折等で介護を必要とする人も増えてきている。
東京大学吉村典子準教授によれば、レントゲン写真を見ると、40代の男性では1割位の人が膝の軟骨に、5割位の人が腰の椎間板に変化が始まっている。60代に入ると膝や腰に変化のない人は少なくなり、男性では膝で3割、腰で7割、女性では膝で6割弱、腰で5割ほどの人が何らかの障害を持っている。骨粗鬆症は60歳以上の女性に多くみられ、70歳以上になるとより進行する。

ロコモチェック7項目
運動器の変化が出やすいのは膝と腰。日本整形外科学会はロコモに気づく為の次の7項目のチェックリストを提案した。
@片足立ちで靴下が履けない
片足で立つ事は、体の傾きに応じて様々な筋肉を使ったり、関節を動かし、その傾きを修正する。
A家の中で躓いたり滑ったりする
体の柔軟性がなくなり硬くなったり、筋力が衰えたり体性感覚が不足していたりした時に起る。高齢者では転倒し大腿骨頸部骨折などが起ったりするので要注意。
B階段を上がるのに手すりが必要
階段を上るのには太ももの前の大腿四頭筋とふくらはぎの下腿三頭筋の力が必要。下腿筋力低下、膝・股関節の状態を示す
C布団の上げ下ろしや掃除機がけ等やや重い家事が困難
足腰の状態を自覚する状況は多少なりとも足腰に負担がかかる姿勢や運動した時。前かがみの姿勢では直立した姿勢の約2倍の負担が腰に係る。歩行時には体重の約3倍の負担が膝にかかる。
D2s程度の買い物をして持ち帰るのが困難
日常の家事動作では前かがみになったり、物を持ち運んだりする作業が多い。このような家事動作の中でロコモに気づく。
E15分位続けて歩く事が出来ない
脊椎管狭窄症では長く歩くと足がしびれたり、痛くなって立ち止まってしまうが、少し休むと又歩く事が出来る。下肢の動脈が狭くなったり、つまってしまう閉塞性動脈硬化症でも生ずる。(間欠性跂行)
F横断歩道を青信号で渡りきれない
足の蹴る力が衰えると体を前に出す動作が十分でなく、歩行速度が落ちる。
これらの項目が一つでも当てはまればロコモの可能性がある。

さて、あなたはどうですか?