2013.9月号より

『 脂質と生活習慣病 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


脂質は三大栄養素(炭水化物、蛋白質、脂質)の中で、1g当り9kcalと最も高いエネルギーを生ずる。脂質には体内でつくる事が出来ない必須脂肪酸が含まれており、体の細胞膜やホルモンを作る重要な材料となっている。また脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・Kなど)の吸収にも役立っている。脂質にはなたね油のような常温で液体の油とバターのような固体の油がある。

年齢によっても異なるが、成人では1日に必要なエネルギーの20〜25 %(およそ50g)は脂質から摂るのが良いとされている。現在の日本人全体の平均脂質摂取状況はおよそ25 %で適量、牛肉や豚肉等の動物性食品と魚類から摂る脂質の割合はほぼバランスがとれていると評価されている。しかしこれはあくまで平均値であり、脂質の摂り過ぎは要注意。

コレステロールは脂質の一種
コレステロールは脂質の一種で、体内での働きから善玉コレステロール(HDL)と悪玉コレステロール(LDL)に区分。善玉コレステロールは血管の余分なコレステロールを肝臓に運ぶことで掃除を行い、動脈硬化を予防する働きをしている。一方悪玉コレステロールの増え過ぎはコレステロールを血管壁に沈着させ、血管内腔を狭くしたり(狭窄)、つまらせたり(閉塞)する。
肉や乳製品に含まれる動物性油脂は食べ過ぎると血中にコレステロールが増える。このようなコレステロールが血液中で高くなっている状態は「血液ドロドロ」とされ、これが動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞の原因となる。動物性脂質の摂取量を減らし、禁煙、減量、ストレス解消など予防対策が必要。血液ドロドロは血液検査(血液粘度分析装置)で簡単に測定できる(詳細は健診プラザ問合せрO24-557-5127)。

脂質の成分―脂肪酸
脂肪酸には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸がある。
飽和脂肪酸―乳製品、肉等の動物性脂肪やココナッツ油、ヤシ油等熱帯植物の油脂に多く含まれている。重要なエネルギー源だが、多すぎても少なすぎても生活習慣病のリスクを高くする。多すぎると狭心症、糖尿病、肥満などの原因となり、少なすぎると脳出血を起こす可能性が高くなる。
不飽和脂肪酸―不飽和脂肪酸にはオメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸があり、各々体の中で異なった働きをしている。

オメガ3脂肪酸
魚類に多く含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)等がある。オメガ3脂肪酸には生活習慣病の予防に役立つ様々な働きがある。

  1. 悪玉コレステロールを下げる
  2. 中性脂肪を下げる(有効なEPA、DHA等を多く含んでいる)
  3. 血栓(血の塊)ができるのを防ぐ
  4. 動脈硬化、心筋梗塞予防
  5. メタボリックシンドローム予防
  6. 脳の活性化による記憶力アップ
  7. 花粉症・アトピー等のアレルギー症状緩和

オメガ6脂肪酸
大豆油、コーンなど植物油に多く含まれるリノール酸が代表。リノール酸は細胞膜や体の構成に働く生理活性物質の材料となる。摂り過ぎると悪玉コレステロールだけでなく善玉も減らしてしまう。アレルギー症状を起す物質の合成を増やし、症状を悪化させることもある。

 生活習慣病を予防し、健康増進をはかる為には、毎日の食事でオメガ6脂肪酸を減らし、オメガ3脂肪酸を多く摂る事がポイント。オメガ3脂肪酸はえごま油、シソ油、亜麻仁油、クルミ、青魚、緑黄色野菜、豆類等の食品に多く含まれている。