2013.7月号より

『 体内時計 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


腹時計も体内時計のうち
人の体には一日24時間のリズム、一年365日のリズム、朝から夜までの体温変化リズム、休息と活動のリズムなどがある。一日のリズムの明と暗サイクルは、睡眠・覚醒のリズムに影響を与えている。また食べる時間によって体内時計は正常に働くので、大幅に食べる時間を変えると昼夜逆転生活になり、体内時計も狂ってくる。宇宙飛行士は宇宙船の中に明暗サイクルの環境を人工的に作り健康を維持している。

メラトニンの分泌低下
1日24時間の生活を調節する体内時計は脳にある。脳の神経細胞が光を感じると松果体に記号を送り、松果体からメラトニンという睡眠を誘うホルモンが分泌される。メラトニンは特性として夜になって明りを消した時に多く分泌される。夜更かしをしていると、夜になってもメラトニンは分泌されず眠くならなくなる。 今の日本では夜間のメラトニンの分泌低下を引き起こす環境が多く存在している。このため体内時計が乱れて、寝つきが悪くなったり、夜中に何度も目が醒めたり、日中の時間帯に眠気が襲ったりする。

寝つきが悪い
年齢を重ねると、夕方に眠くなり眠ってしまうケースもみられるが、その為に夜の睡眠に悪い影響を及ぼしている事もある。これを避ける為には昼食後30分以内の短い昼寝がおすすめ。昼寝から起きた後から寝るまでの時間を出来るだけ長くし、運動や散歩などで身体の活性度を高く維持する。その反動として夜の寝つきも良くなる。

夜中に何度も目が覚める
夕方から下がり始める覚醒度や深部体温を、運動する事によって高く維持し、その反動として夜の睡眠を深くする。昼間楽しく活動した夜は、熟睡出来た事を思い出してみて下さい。

早朝に目が醒める
もともと早起きの人が早朝に朝日を浴びると却って超早起きになってしまうケースがある。そんな場合には光を浴びる時間帯を変える必要がある。早起きの人は朝光を浴びるのではなく、夕方に光を浴びる事によって体内時計を遅らせ、超早起きになる事を防ぐ方法がある。春から夏にかけては夕方の散歩で強い光を浴びる事が多いが、冬の散歩は却って身体を冷やしてしまうので、室内での運動や高照度の照明を使って光を浴びる工夫が必要になる。

眠りが浅い
本来の生体のリズムでは昼間の覚醒度や活性度が十分であれば、夕方には深部体温が最高に達し、それから徐々に下がり、自然に眠くなり深い睡眠が得られる仕組みになっている。身体の深部温度が低くなると深い眠りが得易いという事実がある。熱い風呂に首までどっぷり浸かって身体を温め過ぎると、却って身体を覚醒させてしまうので風呂に入っても身体を温め過ぎないようにするのが大事。入眠前1〜2時間前に40度ぐらいの半身浴で身体の深部温度を上げる。それから温度が徐々に下がってくるので、身体が睡の方向に誘われ、深い睡眠が得易くなる。

生体リズムの活性化がポイント
睡眠力の低下の原因は、年齢を重ねていくと、身体の動きが弱くなったり、運動不足になったりして、身体のリズムの活動を健全に維持する力が弱くなり、体内時計も狂ってくることが問題。体内時計の調整には昼間の活動量を増やす事が重要で、運動する生活習慣を取り入れ、趣味などを持って積極的に活動する事が重要。現代の日本では体内時計の乱れ、夜間メラトニンの分泌低下を引き起こす環境が多く存在するので、自己防衛が必須となって来ている。