2013.6月号より

『 熱中症 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


熱中症の季節
 今年は5月というのに、早や熱中症による事故が話題に上っている。熱中症の原因は体温の調節不全によるので注意すれば予防可能なものである。運動や日常生活の中で体には熱が産生されるが、一方異常な体温上昇を抑える自律神経の働きによる調節機能をも有している。暑い時には末梢の血管が拡張し、熱伝導による体温の放出を図り、汗をかけば汗の蒸発によって熱を放出し体温を下げる。一方、汗は体から水分や塩分を奪うので、適切な対処が必要だ。

気温と暑さ指数
空気の温度―気温は地上約1.5bの高さに設けた百葉箱の中で測定される。暑さ指数(WBGT―湿球黒球温度)とは体の熱の収支に影響を及ぼす温度、輻射熱、気温の3つを取り入れた指数で乾球温度、湿球温度、黒球温度を使って計算する。暑熱環境の指標として世界的に規格化され、日本体育協会においても熱中症予防のために活用されている。

どういう時に熱中症は発生するか
@気温・湿度が高い。A風が弱い、日差しが強い。B照り返しが強い。C急に暑くなった。D梅雨の合間に突然の気温上昇の時は危険信号だ。

熱中症に見られる症状
@ズキンズキンする頭痛。Aめまい、吐き気。Bこむら返り・熱けいれん。C呼びかけに反応なし(意識障害)などの症状を呈する。

素早い応急措置がカギ
@涼しい環境へ避難させる。A衣服を脱がせ、皮膚に水をかけ、団扇や扇風機などで扇ぐ。Bアイスノンや氷嚢で脇の下、大腿の付け根を冷やす。できるだけ早く、救急隊の到着前から身体の冷却を開始するのがポイント。

熱中症の予防策
高い気温の環境条件での運動と日常生活についての注意点を示す。
@気温35℃以上(WBGT31℃以上)
このような高温では運動は原則禁止する。高齢者では安静状態でも熱中症が発生する危険性があるので要注意。外出はなるべく避け涼しい室内に移動する。
A気温31〜35℃(WBGT28〜31℃)
厳重警戒を要する。激しい運動やマラソンなどは避ける。運動する時には頻繁に休息をとり、水分補給を行う。体力の弱い人、暑さに慣れていない人は運動は避ける。日常生活では外出の際は炎天下を避ける。室温の上昇にも注意。
B気温28〜31℃(WBGT25〜28℃)
警戒を要す。運動時には30分毎位に休息をとり、適宜スポーツドリンクなどで水分、塩分、電解質などを補給する。日常生活でも休息を十分にとり、水分等の補給に努める。
C気温24〜28℃(WBGT21〜25℃)
気温24度以上、WBGT21℃以上では熱中症による事故が発生する可能性がある。運動、重労働では合間に積極的に水分、塩分を補給する必要がある。


特に高齢者での注意点
高齢者は若い人に比べ「暑い」と感じ難くなる傾向がある。発汗量、皮膚血流が低下し、のどの渇きを感じ難くなる。真夏日を乗り切るには部屋に温度計を置き、こまめにチェックする事と、のどが渇かなくとも少しずつの水分補給がポイントだ。