2013.4月号より

『 むくみ 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


 体のむくみは千差万別で一様ではない。その原因によって生理的なむくみと病気がもとのむくみに分けられる。
 生理的なむくみ

  1. 長時間の立ち仕事・デスクワークの後のむくみはよくみられる。夕方になると足がむくむのは主として足の静脈の血液にかかる重力のせい。一日が終わる頃に、足の静脈に血液が溜り、静脈の内圧(静脈圧)が上昇して、血管から水分(血漿成分)が細胞間質(細胞と細胞の間)に漏れ出すことによりむくみが起る。
  2. 塩分の過剰摂取によるもので、細胞外のナトリウム濃度が高くなり、浸透圧が上昇するので水分が細胞間質に出てくるためむくむ。
  3. 飲み過ぎると、アルコールには脱水作用があるので、のどが渇く。このため水を多量に飲むことになり、むくみの原因となる。
  4. 生理前や妊娠中には黄体ホルモンが増加する。このホルモンは体の中に水分を溜め込む作用がある。

 病気が原因のむくみ

  1. 全身的なむくみ

 心臓病、腎臓病、肝臓病などではそれぞれ原因は異なるが、体全体にむくみが生じる。低栄養状態や内分泌ホルモン異常では血液中のたんぱく質の不足や電解質のバランスが崩れて全身にむくみを生ずる。

  1. 足だけのむくみ

 動脈血は一日十万回も拍動する強力な心臓のポンプ作用で体の隅々まで送られる。一方心臓から遠く離れた足の静脈血は重力に逆らって心臓まで戻るが、その原動力となるのがふくらはぎの筋肉(腓腹筋)。歩いたり、足の運動をしたりすると筋肉が収縮し、静脈血を心臓まで押し上げるポンプの役目を果す。ふくらはぎの筋肉は「第2の心臓」と呼ばれる所以である。
足の静脈に炎症が起ると、血液の環流障害が生ずる。足に血液が滞り、むくむ。この静脈の還流障害こそが足のむくみの実態。リンパの流れの障害もむくみを生ずるが原因は静脈系とは異なる。

むくみ対策
全身性のむくみに対しては、その原因疾患の治療が必要。一方、足だけに見られるむくみは見過ごされがちであるが、放置しておくと慢性静脈不全に進行することもあるので要注意。ヒトは進化し立位をとり、2足歩行となって以来、静脈還流は重力に逆らうので負担となっている。足のむくみは有史以来、健康の課題となっている。現在は全人口の50%近くに見られる。むくみが進行すると足の静脈が皮膚表面に浮き出てくる静脈瘤、更に皮膚が褐色調となり、ついには皮膚が破れて潰瘍を形成するまでに至る。また同時にエコノミークラス症候群のリスクも増えてくる。初期治療が肝腎。

むくみ予防法

  1. 長時間の起立を避ける
  2. ふくらはぎの筋ポンプ作用を起動させるために歩行・運動の奨励
  3. 太ももの挙上運動(1日3〜4回)
  4. 弾性ストッキングの着用

 弾性ストッキングにはハイソックス、ストッキング、パンストタイプ等があり、圧迫圧により強・中・弱の各種があり、個々人にフィットしたものを選ぶことが必要。合わない弾性ストッキングは効果がないばかりか、却って害となる。病院のフットケア外来でストッキングコンダクターの指導を受けるのが特策。

  1. 西洋ハーブ(赤ブドウの葉エキス)

 ヨーロッパでは古くから内服薬として使用され、日本でもようやく今年から一般薬として販売されるようになった。
詳しい情報はhttp://www.cvi-info.jp/を参照。