2012.9月号より

『 健康管理のポイント 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


 世界保健機関(WHO)が今年発表した心疾患や脳卒中、がん、慢性呼吸器疾患、糖尿病等を含む非感染性疾患(NCD)による死亡は全世界で3600万人を数え、多く 低 ・ 中所得の国に集中 増加している。

 日本では2008年の死亡数の約8割に当る90万8700人がNCDによる死亡であった。

 有効な対策をしないと2030年までに死者は世界で5200万人に膨らむと推測されている。世界保健機関のチャン長官は「多くの国で起きているNCDの増加は、喫緊の対策 を必要とする災害のようなものだ 。 この疾患により、人々の健康が損われるだけでなく、社会や国にとっても経済的な負担が大きい。その負担は数十億ドルにも上る。」と懸念を述べている。

 中・高年に急増するNCD

 NCDによる死亡者で割合が高いのは、心疾患 48 %、がん 21 %、慢性呼吸病 12 %。また世界の成人の3人に 1人は高血圧だと推定されている 。 脳卒中と心筋梗塞の半数は高血圧によると推測される。医療の進んだ高所得国では血圧降下薬による治療の普及により、平均血圧は低下し心筋梗塞や脳卒中による死亡は低下傾向にある。1980年にはヨーロッパの成人の 40 %、アメリカの成人の 31

%が高血圧だったが、治療が普及した結果各々 23 %に低下した。対照的にアフリカ地域では現在成人の 40 〜 50 % が高血圧で有病率は拡大している 。 発展途上国の高血圧有病者の多くは診断もされておらず、心臓病や脳卒中の危険性が高まっている。糖尿病はNCDによる死亡の直接的な原因であり、全体の 3.5 %を占める。高血糖によって心疾患では 22 %、脳卒中では 16 %、死亡率は増加する。

 WHOのおすすめ対策

•  健康的な食事

 栄養バランスの良い食事は心臓や循環器を健康にする。野菜や果物、全粉粒(小麦の表皮、胚芽、胚乳すべて粉にしたもので食物繊維を多く含みビタミン B 1 の含有量も多い)、肉や魚を十分摂る。また塩分や糖分の摂取を減らす。

 A運動の習慣化

 1日 30 分以上の運動や身体活動を習慣として行う。毎日の通勤時に苦しくならない程度の早歩き、 10 分以上でも効果はある。スポーツジムで有酸素運動、ストレッチ、筋トレを行えば更に効果的。

 B自分の血圧を知っておく

 高血圧には自覚症状が無いが合併症(脳卒中や心筋梗塞)は突然発症するので、日頃の自分の血圧を知っておくことは重要。朝起床後に測定する家庭血圧が良い目安となる。 125 〜 80 mmHg 以上が続くなら要注意。

 C自分の血糖値を知っておく

 糖尿病は腎臓機能障害を起し、血液透析に至る最大原因。生活習慣病の中核病変であるが、予防するためには自分の血糖値を自覚しておくことが重要。空腹時血糖 110 mg/ ? 以上、ヘモグロビンエイワンシー( HbA 1 c )は 4.3 〜 5.8 %が正常値で、 6.5 % ( 国際標準値 ) 以上は要注意である。

 D脂質異常にも注意

 高コレステロール等の脂質異常も心疾患や脳卒中の危険性を高める。メタボ検診では善玉コレステロール( HDL ) 40 mg/ ? 以下、中性脂肪 150 mg/ ? 以上の2項目が評価項目となっている。総コレステロール 220 mg/ ? 以上、悪玉コレステロール 140 mg/ ? 以上等も脂質異常 。

 E禁煙

 タバコは身体にとって有害。受動喫煙の悪影響も深刻。禁煙の直後から 心疾患や脳卒中の危険性は低下し 、 1年後にはその危険性は約半分位となる。新薬(チャンピックス)による禁煙効果は従来のものより良好。当院禁煙外来での成功率は約8割にのぼる。