2012.6月号より

『 身近なアンチエイジング(その3) 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


【動脈硬化】
  「ひとは血管と共に老いる」とはウィリアム オスラー博士の有名なことば。血管の老化によるトラブルの基は動脈硬化。健康な人では、心臓が送り出す血液の流れを動脈が受け止めるので血圧は安定している。しかし動脈硬化が進んだ血管では血液の流れの圧力(血圧)をそのままはね返すために高血圧となる。動脈が動脈硬化により硬くなり弾力性を失うことが高血圧の原因。

【動脈硬化はなぜ怖い】
  動脈硬化が問題なのは「心筋梗塞」や「脳梗塞」など命に関る病気を引き起すから。日本人の死因で最も多いのは「がん」。動脈硬化と関係している心筋梗塞や脳血管疾患(脳卒中)がそれに続き、この2つの合計はがんの死亡数に匹敵する。またこれらの病気は一旦発症すると命に関るだけでなく、重い後遺症を残したり、寝たきりになる危険性もある。

【動脈硬化の危険因子】
  動脈硬化発症の原因はさまざま。そのうち注意しても避けられないのは「加齢」、「性別」、「遺伝体質」。男性45歳、女性55歳を過ぎると動脈硬化を原因とする病気の危険性が高くなる。女性より男性の方が動脈硬化が進行しやすい傾向がある。この傾向は女性ホルモンが影響、女性ホルモンの分泌が減る閉経後は女性でも動脈硬化が進行するので要注意。家族に若いうちに心筋梗塞や脳卒中を起した人がいるケースでは遺伝的体質が関係している場合もあり、普段の生活習慣に注意が必要。

【動脈硬化と生活習慣病】
@ 高血圧
  血圧はさまざまな要因で上昇する。内臓脂肪の蓄積もその一つ。内臓脂肪はレプチン、アンジオテンシノーゲンなどを分泌して血圧を上げると共にインスリン抵抗性を増し、血圧を上昇させる基となる。またインスリン抵抗性は糖尿病をひき起す。糖尿病の人はそうでない人に比べて高血圧の頻度が3〜4倍高いので要注意。血圧は体調や生活環境の変化、ストレスなどによっても絶えず変動している。朝起床後、上腕で血圧を測定する家庭血圧が血圧管理に大いに役立つ。一般的に収縮期血圧130mmHg以上、拡張期血圧85mmHg以上は要注意。
A高脂血症(脂質異常症)
  LDLコレステロールといえば悪玉コレステロールを連想するかも知れない。LDLコレステロールより更に悪玉とされているのが小型LDL。小型LDLはサイズが小さいため、通常のLDLよりも血管壁に侵入しやすく、また酸化ストレスを受けやすく血管内膜に溜まる性質を持っている。LDL140mg/?以上は要注意。LDLコレステロールはほかのコレステロール、高血圧、高血糖などとは関係なく、独自に動脈硬化を促進するので、メタボリックシンドロームの条件からは外されている。しかしメタボリックシンドロームに該当しないからといって安心してはいけない。メタボリックシンドロームで問題となるのは中性脂肪150r/?以上、HDL(善玉)コレステロール40mg/?以下とされており、内臓脂肪の蓄積に伴って、インスリン抵抗性が高まるので動脈硬化の促進因子となる。
B腹部肥満
  腹部肥満は内臓に脂肪が溜まること。メタボリックシンドロームの基本的要因。動脈硬化に連なる内臓脂肪の溜まり具合を調べるには腹部CT検査が最も確実。便宜的にウエスト周径、男性85p、女性90pがCT検査の代用として用いられている。内臓脂肪蓄積の原因は過栄養と運動不足。加齢や遺伝的体質もあるが、動脈硬化の進行を遅らせるためにはBMI25以下を目指し、肥満を防ぐ努力が必要。