2012.4月号より

『 身近なアンチエイジング(その1) 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


老化物質―AGE
 誰でも年齢と共に老化現象が出現する。最近の研究で全身の老化に関っている老化物質がわかってきた。Advanced Glycation End-products―AGEが犯人である。AGEはたんぱく質が糖によって「糖化」された物質。この糖化はメイラード反応と呼ばれる。このような反応は例えばホットケーキを作る場合、薄い黄色の生地が焼けると茶色になり香ばしさも生じるのと同様。これは材料となる小麦粉や卵のたんぱく質が砂糖と結びつき、加熱によって糖化された結果である。この反応が体の中で起こると体内のたんぱくと糖が結びつき、加熱の代りに時間が経過することで糖化が進み老化物質AGEが増えることになる。  

元凶は高血糖
 AGEが身体の内で増える原因は「高血糖」。体の内の糖分―血糖はエネルギーの源となるもので体にとって必需品だが、多過ぎると高血糖は糖化を促進する。従って糖尿病は「老化を加速する病気」ともいえる。  

食後の高血糖は赤信号
 糖尿病ではなくとも食後一過性に高血糖になるだけでも糖化のリスクが増加する。高血糖を防ぐために何を、どの位食べるかによって血糖値の上がり方は変る。白米、白パンといった体に吸収しやすい白い糖質よりも、全粒粉パン、雑穀のような食物繊維が多く、ゆっくり吸収される糖質の方が血糖値は上がりにくい。  

糖化予防の食事
 糖化予防の為に気をつけなければならないのは食後血糖値の急上昇。決して食事制限でカロリーをしぼることではない。同じメニューでも食べる順番を変えるだけでも有効。  グリセミック指数(GI)は摂取した炭水化物が吸収されてグルコースに変る速さを相対的に数値化した指数。GI値が低い食物を摂ると、それだけ食後の高血糖が抑えられるわけ。代表的な低GI食品は野菜、精製されていない全粒粉、乳製品、海藻類、キノコ類、ナッツ類、豆類、大豆食品、果物など。個人差はあるが、これら食品は吸収が遅いので食後血糖値が上昇しにくい。  

大原則は野菜を先に食べる
 野菜を先に食べると野菜に豊富に含まれている食物繊維が、腸での糖の吸収を抑えるので、食後血糖値の上昇が緩やかになる。また食物繊維をよく噛むことで満腹感を増やし、結果としてご飯の量が減る。野菜の次に魚、肉、卵、大豆などたんぱく質のおかずを食べる。たんぱく質は皮膚、血管、骨など体の組織を作る基となるので老化予防の為にもバランスよく摂る。最後にご飯や麺、パンなどを食べる。先に食べた野菜の食物繊維のおかげで糖の吸収が緩やかになる。食物繊維の多い雑穀米や玄米パンなどにすると更に効果的。  

カレーライスとサラダ
 カレーライスとサラダのセットメニューを、1回目はカレーライスを先に食べ、日を変えて2回目はサラダを先に食べ、10分後にカレーライスを食べた実験の成績は、サラダを先に食べた2回目の方が食後血糖値の上昇が低く抑えられたという結果が得られた。食べた内容は同じでも、食べる順番を変えただけで食後血糖値の改善がみられた。 また68歳男性、健診で血糖値190mg/?、ヘモグロビンA1c9.0%で糖尿病と診断された事例では、病院の指導で食事や弁当を「野菜→魚や肉→ご飯」の順番で食べるようにした。6ヶ月後にはヘモグロビンA1cが7.8%まで改善した。正常値は6.5%以下であるので、未だ高値ではあるが、ジョギング、ウォーキングなどの運動を加えられれば更なる改善が期待できる。身近なアンチエイジングの第一歩として、まず食事に留意しよう。