2012.3月号より

『 コレステロール 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


 コレステロールといえば体に悪いものというイメージがあるが、コレステロールは本来ホルモンや細胞膜の材料で体にとっては必要不可欠なもの。コレステロール値は食事、運動、年齢、性別などによって変化する。コレステロールはあぶら(脂質)の一種で食物から吸収される他、肝臓で合成され、血流によって全身に運ばれる。肝臓でつくられるコレステロールは身体のコレステロールの70〜80%を占め、食物より吸収されるものよりははるかに多い。コレステロールは主成分が水であるため血液には溶けず、水になじむ粒子に含まれて血液中を流れる。
  LDL(悪玉)コレステロール
  LDLコレステロールは、肝臓から全身にコレステロールを運ぶ重要な任務を果している。しかし血液中にLDLコレステロールが増えすぎると血管壁に入り込んでコレステロールの塊(粥腫)になり、動脈硬化が進行する。このため悪玉コレステロールと呼ばれている。
  HDL(善玉)コレステロール
  体内の余分なコレステロールを肝臓に戻す働きをしている。血管の壁に溜まったコレステロールを回収するため善玉コレステロールと呼ばれている。血液中の善玉HDLコレステロールが少なくなると動脈硬化が進行しやすくなる。
  TG(中性脂肪)
  血液中の脂質にはコレステロールの他にTG中性脂肪がある。中性脂肪は体のエネルギー源になる。しかし中性脂肪が増え過ぎるとLDL悪玉コレステロールが血管の壁に入り込みやすくなるため動脈硬化は更に進行しやすくなる。また、中性脂肪が増えると善玉HDLコレステロールの敵のような働きをし、HDLコレステロールは減ってしまい、血管壁に溜まったコレステロールが回収しにくくなり動脈硬化が進行する。
  脂質異常症とは
  悪玉コレステロールの基準値は140
mg/?以上、善玉コレステロールは40 mg/?未満、中性脂肪は150 mg/?以上。3つのうち1つでも当てはまると脂質異常症と診断される。
  脂質異常症の危険度
  脂質異常症は動脈硬化を進行させる主要な危険因子の1つ。危険因子はこの他にも高血圧、糖尿病、タバコ、年齢、性別などがある。これらの危険因子が重なれば重なる程、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞など発症する危険性も高くなる。これらの危険因子を全部持っていると10年の間に心筋梗塞や脳梗塞などで死亡する確率は10%以上にもなる。逆に危険因子の数が減れば、それにつれて危険性は下がるので1つでも危険因子を減らす努力が肝腎。
  高血圧は血管の壁に与える血圧が高い状態が続くと、血管壁が傷つき動脈硬化が進行する。
  糖尿病は小型のLDLが増えたり、血管壁が傷ついたりして動脈硬化が進行する。
  タバコは煙に含まれるニコチンなどが血管壁を傷つけたり、LDLを酸化して血管壁に貯まりやすくする。スモーカーはタバコを吸わない人に比べ心筋梗塞など発症する危険性は2〜4倍大きくなる。
  加齢に伴い動脈硬化は進行する。男性では45歳以上は危険因子、女性では女性ホルモンが減少する55歳以上が危険因子となる。
  脂質異常症の治療
  脂質異常症の治療は食事や運動など生活習慣の改善が基本。最初から薬に頼るのは邪道。食事の改善、運動など生活習慣の改善を3〜6ヶ月行ってもなお脂質異常が改善しない場合には薬物療法を検討することが必要となる。