2012.2月号より

『 隠れメタボ 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


メタボリックシンドローム
  生活習慣病の示標となっているメタボリックシンドローム(メタボ)が話題となって久しい。メタボはウエスト径が男性85p、女性90p以上の肥満型が基準値で、かつ@血圧130〜85mmHg以上、A空腹時血糖110mg/?以上、B高脂血症としてTG(中性脂肪)150mg/?以上、HDL(善玉)コレステロール40mg/?未満のうち2項以上該当するとメタボと診断され、1項のみ該当は予備軍とされている。平成18年厚労省の統計によればメタボは940万人、予備軍1020万人を数えた。
  メタボ人口を年齢別にみると40歳代男性はメタボ及び予備軍は44.8%、50歳代は52.2%、60歳代54.0%、70歳代52.3%と高頻度にみられ、加齢と共に漸次増加する傾向を示している。一方女性では40歳代5.3%、50歳代11.7%、60歳代26.1%、70歳代30.0%と男性に比べメタボ及び予備軍は少ない傾向だが、加齢と共に急激な増加傾向を示しており用心しなければならない。
  メタボの原因
  メタボの原因は食事と運動不足の結果である。糖質(炭水化物)の過剰摂取、或は高脂肪食はエネルギーの摂り過ぎを来たす一方、マイカーなど交通手段の利便性は、私達から「歩く」という運動の機会を減少させた。これ等の結果糖質をコントロールしているインスリンに対して抵抗性が増大するので糖尿病(2型)、高脂血症、脂肪肝、高血圧が発症する。これらは30歳代頃から動脈硬化が進行し脳卒中か心筋梗塞の原因となる。
  危険なライフスタイル
  メタボ解消のためには食事と運動の見直しが必要。規則正しいバランスのとれた食生活がポイント。朝食を抜いたりせず3食をきっちり食べること。早食いは満腹中枢が刺激される前にカロリーオーバーになってしまうのでゆっくり食事することが大切。炭水化物の重ね食いもついついカロリーオーバーとなる。また寝る直前食いは相撲力士の例に見るごとくで避ける。ストレス食いにも注意しなければならない。
  体のエネルギー消費はまず血液中の糖分、筋肉内のグリコーゲン、次いで中性脂肪の順で消費される。メタボ対策としては中性脂肪の燃焼が必要。酸素を充分に取り込む有酸素運動、ウォーキング、水泳、体操などが適している。ウォーキングなどの有酸素運動の場合、運動開始直後は摂取した食品の糖質がエネルギーとして使われるが、運動を続けると徐々に脂肪がエネルギーとして利用される。糖質・脂肪のどちらのエネルギー源が使用されるかは運動時間だけでなく、運動強度も影響する。強度の強い運動は糖質を多く使用し、長く続ける強度の弱い運動は脂肪を多く使用する傾向がある。また有酸素運動は血液中の中性脂肪(TG)、悪玉コレステロール(LDL)を減少させ、善玉コレステロール(HDL)を増加させる働きも有している。
  隠れメタボ
  過日NHKニュースで隠れメタボが取り上げられた。血圧や血糖値が高いのにウエスト径が細いためメタボと診断されない、いわゆる隠れメタボの人が全国で360万人以上いることが厚労省研究班の調査で報道された。国立長寿医療研究センターの研究班が40歳以上の男女2400人を無作為に選んで調査した。ウエスト径が基準より細く、肥満ではないのに血圧や血糖値の2項目で基準を超えている人が5%おり、単純計算すると日本全体では隠れメタボが360万人存在することになる。また70歳代の女性は同年代の男性の約2倍と特に多い結果であった。現在のウエスト径の基準は男性にきつく女性に甘い批判はあるにせよ隠れメタボには充分留意する必要がある。