2011.12月号より

『 新しい禁煙補助薬(チャンピックス)』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


 タバコをやめたいと思っている人が多いのは事実だが、実行の段階となるとなかなか踏ん切れない。そんな人にとってチャンピックスは福音かも知れない。従来の補助剤としては皮膚に貼るニコチンパッチ、ニコチンガムなどが市販されていたが効果は今イチであったようだ。最近登場した飲み薬(チャンピックス)は従来のものと異なりニコチンを含まない薬で、タバコを吸いたいという気持ちを抑え、禁煙による離脱症状を軽くする作用を有しており、効果もかなり期待できるようである。

  なぜタバコを吸いたくなるか
  タバコを吸うとニコチンは肺から血液の中に入り、すぐに脳に達する。脳にはニコチンと結合すると快感を感ずる受客体があり、快感を生じるドーパミンという物質が放出される。喫煙の習慣は無意識にこの快感を味わうこととなり、タバコが切れると集中できない、イライラする等が起こる(ニコチン依存症)。

  禁煙外来を訪ねると
  まずニコチン依存症に係る簡単なスクリーニングテスト(TDS)を行う。TDSテストとは保険適応者を抽出するためのスクリーニングテストで精神医学的な見地から開発されたもの。その内容は禁煙を試みたがタバコが欲しくてたまらなかたとか、タバコのために自分の健康問題が起きているとわかっていても吸ってしまったとか、自分はタバコに依存していると感じているとかなどなど10の質問である。5問以上の合致はニコチン依存症と診断され、健康保険適応となる。大部分の年期の入ったスモーカーは依存症と見做される。
  次に1日のタバコ喫煙本数×喫煙年数が200以上であること、そして禁煙治療について説明を受け同意することが条件となる。禁煙治療は初回診療から12週間にわたり、2・4・8・12週後の計4回の再診を受けるのがコース。
  禁煙が成功しなかった場合には意志が弱いとかストレスが溜ったとかの理由で再喫煙した場合には失敗だったと統括せず、再喫煙は禁煙に至るまでの通過点と考え、失敗の原因を心にとめ、再度チャレンジする気持ちが必要。禁煙に成功した人でも3〜4回の禁煙チャレンジを経過した人が多い。

  禁煙成功のメリットは大きい
  禁煙後数日:味覚、嗅覚が鋭敏になる。おいしく感ずるので食べ過ぎに注意。
  禁煙後1〜2ヶ月:咳、痰、呼気時ぜいぜい、ひゅうひゅうが改善する。
  禁煙後1年:慢性閉塞性肺疾患(COPD)になっていても肺機能が改善する。
  禁煙後2〜4年:心臓の病気のリスクがかなり低下する。
  禁煙後5年:肺機能の低下スピードがタバコを吸わない人とほぼ同じになる。
  禁煙後5〜9年:肺がんのリスクが明らかに低下する。
  禁煙後10〜15年:咽頭がんのリスクが吸い続けている人より60%低下する。
  禁煙後10〜20年:肺がんのリスクが吸い続けている人より70%低下する。
  禁煙後20年:口腔がんのリスクが吸わない人と同じくなる。

  チャンピックスの禁煙成功率
  チャンピックスによる成功率は65.4 %と報告されている。筆者の禁煙外来においては禁煙成功者は24名中22名成功91.7%と高率、従来の補助剤と比べ成功率はかなり高い。最近服用後意識障害が数例報告されているので服用中は自動車運転は控えるのが安全。新年正月を禁煙のきっかけとするのは如何か。