2011.1月号より

『 アンチエイジングドック 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


健康な人の更なる健康

 アンチエイジング医学は従来の医療が求めていた「病気の治療」から「健康な人の更なる健康」へと方向を転換した究極の予防医学。人は知らないうちに老化が進み、ある日突然老化を自覚する。これまでの健康診断や人間ドックはガンや生活習慣病の早期発見、早期治療が目的であった。アンチエイジングドックは健康 で長寿を目指すものであり 、 より良い日常生活の示標となる 。

 バランスのとれた老化

100 歳を過ぎても元気で健康的に過している百寿者も居れば、一方では 60 代、 70 代で介護が必要な状況の人もいる。老化のしかた、老化へ向うスピードは人によって異なる。身体がバランスよくゆったりとしたスピードで老化していくのが理想。

 アンチエイジングドック検査内容

@血管の動脈硬化

 動脈硬化は脳卒中や心筋梗塞など生活習慣病を引き起す元凶。動脈硬化の進行度から血管年齢を測る。血圧脈波検査は動脈の血流パターンから動脈の閉塞や狭窄状態もわかる。頚 動脈超音波は頚動脈のプラーグ ( 脳 塞栓の因)をチェックする。血液サラサラ度は毛細血管レベルの血液の流れを目で見ることができる。

 A血液老化度

 脂質は蛋白質、炭水化物とともに三 大栄養素の一つ 。 脂質には細胞膜 、 ビタミン、ホルモンなどを生成する材料として利用されるコレステロールや身体を動かすエネルギー源となる中性脂肪があり、欠かすことができない重要な物質。

 血液中の脂質バランスの崩れは動脈硬化を進行させる。アディポネクチンは脂肪細胞から分泌される善玉の生理活性物質で、血中濃度が減少するとインスリン抵抗性を増大し、逆に増えると動脈硬化を抑え、糖や脂肪の燃焼を促す役割を果たす。

 B活性酸素・抗酸化力

 老化は身体のサビに例えられる。活性酸素は身体にサビを導く原因。活性酸素の血中濃度をチェックすると共に活性酸素を阻害する抗酸化物質の濃度も測定し、それらのバランスを検査する。ビタミンCやEは抗酸化作用を有し、そのレベルチェックは健康管理に大いに役立つ。

 Cホルモンバランス

 加齢に伴ってホルモンバランスが崩れると、様々な障害が起る可能性がある。エストラジオールは体内の女性ホルモンの中で最も作用が強いホルモン。閉経後は低くなるが、ホルモン補充療法は乳がんの増加の危険性もあるので要注意。テストステロン(男性ホルモンの一種)も加齢と 共に減少するが 、 個人差が大きい 。 ホルモン補充療法は前立腺への影響があるので、個別の対策が必要。副腎でつくられるDHEASの測定は動脈硬 化 、 糖尿病 、 肥満 、 骨粗しょう症 、 がん、免疫改善に役立つ。

 D免疫バランス

 外敵から身体を守るための免疫機能は加齢によって低下する。年齢に応じた免疫バランスを検査する。

 NK細胞は病原菌やウイルスを排除したり、癌細胞をやっつけて身体を守る。強いストレスによって低下す るとかぜや病気にかかり易くなる 。

 E一般検査

 肝臓機能、腎臓機能、糖尿病、貧血など、内蔵機能が加齢によって衰えていないか検査する。

 F身体の構成

 基 礎的な体型評価と 、 脂肪 、 筋肉 、 骨など身体を構成する成分のバランスを検査する。

 まとめ

  身心健やかに豊かに老いるには年齢を経ることによって起る疾病や不具合を予防・軽減することである。健康管理は自己管理、自己責任。アンチエイジングドックはそんな人をサポートするシステムである。