2010.10月号より

『 ニコチン依存は病気 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


今年の朝日がん大賞に国立がん研究センター予防研究部長である津金昌一郎先生が決定した。どんな生活習慣ががんを防ぐのかのテーマについ ては欧米の研究データーは多いが 、 日本人を対象とした信頼度の高いデーターは少ない。津金先生は 20 年間日本人のデーターを蓄積してきたのが受賞につながった。「タバコを吸う男性はがんの発生リスクが吸わない人の 1.6 倍。禁煙すれば男性のがんの3割は予防できる」と津金先生は結論している。

 タバコ人口の実体

 平成 21 年の福島県民健康調査によると県内成人の喫煙率は 22.3 %で過去最低となった。以前は吸っていたがやめた人は 18.6 %で4年前の前回調査と比べ 2.5 ポイント高くなり、県民の健康志向の高まりがみられた。喫煙率は男性 35.5 %と前回調査より 4.7 %低下、女性は 10.0 %で前回より 1.8 ポイント 低下した 。

 いま禁煙しようと決めたら?

 平成 18 年から禁煙治療は「ニコチン依存症」として保険が適応されている。まず直ちに禁煙しようとの決心 が第一 。 次にブリンクマン指数 ( 一 日喫煙本数×喫煙年数 ) が 200 以上あり、次のニコチン依存症のスクリーニングテストによる評価および治療を受ける同意が必要。標準治療期間は 12 週間。期間延長も可。

 ニコチン依存症のスクリーニングテスト ( TDS )

 ニコチン依存症として保険適応となる対象患者は次のテストで、はい1 点 、 いいえ0点で5点以上が必要 。

 問1 自分が吸うつもりよりも、ずっと多くタバコを吸ってしまうことがありましたか。

 問2 禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか。

 問3 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、タバコがほしくてほしくてたまらなくなることがありましたか。

 問4 禁煙したり本数を減らしたと きに 、 次のどれかがありましたか ( イライラ 、 神経質 、 落ちつかない 、 集中 しにくい 、 ゆううつ 、 頭痛 、 眠気 、 胃 のむかつき 、 脈が遅い 、 手のふるえ 、 食欲または体重増加)

 問5 問4でうかがった症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか。

 問6 重 い病気にかかったときに 、 タバコはよくないとわかっているのに吸う ことがありましたか。

 問7 タバコのために自分に健康問 題が起きているとわかっていても 、 吸うことがありましたか。

 問8 タバコのために自分に精神的問題 ( 神経質になったり、不安や抑うつなどの症状 ) が起きているとわかっていても吸うことがありましたか。

 問9 自分はタバコに依存していると感じることがありましたか。

 問 10  タバコが吸えないような仕事やつきあいを避けることが何度かありましたか。

 標準禁煙治療 ( 健康保険適応 )

 禁煙外来では喫煙状況、 TDS による評価 ( 5点以上が適応 ) 、呼気一酸化炭素濃度測定 ( 喫煙者は明らかに高値 ) を行い、禁煙にあたっての問題点の把握とアドバイスを受ける。最近効果的とされる薬剤 ( チャンピックス ) は喫煙から得られる満足感を抑制し、禁煙に伴う離脱症状やタバコを吸いたい気 持ちを軽減するのが 特長 。 禁煙外来は保険適応なので 、 経費負担は軽減されている。

 ニコチン依存は病気

 タバコをやめられない状況はニコチン依存症とされており、医師によるアドバイス・治療が必要な病気と認識されている。新しいニコチンを含 まない経口薬が禁煙外来を変えた 。 この機会に決心なさっては如何。