2010.9月号より

『 AED 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


最近「AED」の文字や言葉が目立つようになって来た。AEDとは「自動体外除細動器」という医療機器である。倒れた人の胸に張り付けたパットから心臓の電気的な信号を感知し、適応があれば自動的に電流を流し、心臓に電気刺激を送り、心臓の状態を正常に戻す機能を持っている。 2004 年から医療従事者でない一般 市民でも使ってよいことになった 。 せっかく救急車で病院に搬送されても、手遅れという事態を避けるための処置である。AEDは医療施設だけ でなく駅 、 空港 、 スポーツクラブ 、 学校、公共施設など人が多く集まるところに設置され、全国で 20 万台以上と普及してきた。昨年の東京マラソンの時にも役に立ったのは記憶に新しい。

 AEDはどんな場合に使うか

 突然に人が倒れて意識を失った場合、心臓が心室細動という不整脈を起した可能性が高い。心室細動は心臓の血液を拍出する心室がブルブル震えて血液を送り出せない状態、つまり心臓停止状態になる事である。心室細動から蘇る治療は心臓に電気刺激を送り心室細動を正常の心拍動に戻す(除細動)ことが唯一の治療法である。救急室など病院では日常行われている処置である。

 倒れて3分が生死の分かれ目

 心室細動を起すと、1分経過するごとに 10 %助かる確率が減るといわれている。救急車が現場に到着するまでの時間はおよそ6分かかるといわれているので、何もしないで救急車を待っていては助かる確率はかなり低くなる。しかしAEDが普及したので、近くにAEDがあれば近くに居る人達がすぐにAEDを使うと助かる可能性が高くなる。早ければ早い程救命できる訳である。

 実際に倒れた人がいたらどうするか

 @まず軽く肩をたたいて、声をかける。

 A反応がなかったら 119 番に連絡して救急車を呼ぶ。

 B息 をしているかどうか確かめる 。

 C呼吸していなければ近くに居る人にAEDを持って来て貰う。同時にAEDが到着するまで心臓マッサージを行う。

 D心臓マッサージの方法

 救命救急のガイドラインでは、最初に人工呼吸を2回行った後、心臓マ ッサージ ( 胸骨圧迫 ) を 30 回行い 、 人工呼吸2回を繰り返すのが標準であった。 2008 年アメリカ心臓協会より一般市民は人工呼吸を行わず心臓マッサージだけでよいという見解が示された。最近の研究では心臓マッサージと人工呼吸の両方を行った場合の救命率よりも心臓マッサージだけを行った方が救命率が高い事が明らかになった。

 心臓マッサージは動かない心臓に代わって脳や全身の臓器に血液を送り込み酸素を供給する救命方法。倒れている人の胸の真ん中(乳頭と乳頭を結ぶ線の真中)に左右の手のかかとの部分を重ねてのせ、肘を伸ばしたまま真上から胸壁が4〜5センチ 程度沈むまで強く押す 。 押した後 、 瞬時にその力を緩める。この動作を1分間に約 100 回の速さで繰り返し続ける。

 EAEDが到着したら、衣服をゆるめ胸を開け、電極パットを貼る。音声による指示に従ってボタンを押して電気ショックをかける。AEDの電極を貼ったまま心臓マッサージを再開する。2分後に自動的にAEDが再度、電気ショックをかけるかどうか音声による指示がある。

 F意識が戻ったら、倒れている人の 体を楽にして救急隊の到着を待つ 。

  このような心配蘇生法は実際に講習会などで体験する事をおすすめします。いずれ救急救命に役立つ事があるでしょうから。