2010.6月号より

『 アンチエイジング 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


多くの人はアンチエイジングとは女性の見た目や美容のことと思っているようだ。アンチエイジングという言葉は本来はアンチエイジング・メディシン(抗加齢医学)という言葉から発したものである。

 人間は誰でも年齢を重ねるとともに老化という自然現象を止めることは出来ない。老化はこの自然現象に様々な病気のもととなる病的因子が加わり加速されていくことが多い。抗 加齢医学はこの病的老化を予防し 、 必要に応じ治療して病気を未然に防ぐための医療だ。併せて生活習慣病を予防することでもある。

 老化現象はどうして起るか

 何人も避けられない体の老化現象はどうして起るかについてはいくつかの説がある。実際には老化はこれらメカニズムが複合的に組み合わさって進行する。

 @フリーラジカル説

 現在最も有力と考えられている老化の原因である。その代表格が活性酸素である。喫煙、深酒、過度のストレスなどが加わると体内で余計に発生する。活性酸素は細胞にダメージを与え、障害を受けた臓器の機能低下や動脈硬化などを引き起す。  Aテロメア説

 本誌四月号に詳しく解説した。細胞が分裂できる回数は、テロメアという遺伝子によって制限されているために細胞分裂がある程度繰り返すと体の細胞の新生が低下し、機能もだんだん衰えて老化していく。

 B遺伝子修復エラー説

 細 胞の遺伝子が障害を受けた際に 、 これを修復する機能がうまく働かないと、結果的に細胞や臓器の機能が低下し老化する。

 C老廃物蓄積説

 老廃物が細胞外へ排出しきれず、細胞内に蓄積されていくと、細胞や臓器の機能が低下し老化する。

 Dホルモン低下説

 細胞や臓器を維持している様々なホルモンの産生が徐々に低下するために老化現象が起る。

 アンチエイジング戦略

 @ヘルシーな食事

 ヘルシーな食事として注目されているのは地中海食だ。野菜、穀物、果物、ナッツ、マメ科植物、オリーブオイルの他ワインなどアルコールを適量摂ることだ。この食事で動脈硬化による心臓病のリスクは減る。悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増す効果がある。和食も長寿食と云われているが大規模研究のデーターは不足で、和食イコール長寿食とはいい切れない。

 Aミネラル補給

 最 近の国民栄養調査でカルシウム 、 鉄、亜鉛、銅、マグネシウムなど5つのミネラルが不足しがちであることが判明した。カルシウム不足は骨粗鬆症や骨折の誘因、鉄不足は貧血や口角炎、亜鉛不足は味覚異常や皮膚炎、銅不足は貧血、神経障害などを引き起こす。若々しく健康的に生きるためにはミネラル不足を解消する必要がある。加工食品や調理済み食品ではミネラル成分が想像以上に少ない。忙しくて毎度の食事に気を使っておれない人はサプリメントを活用するのもよいやり方だ。

 B有酸素運動

  有酸素運動は呼吸で酸素を体内に取り込みながら長く続ける運動だ。歩 くこと 、 ジョギング 、 ランニング 、 水 泳 、 自転車こぎなどが当てはまる 。 ややきついと感じる程度が適度である。世の中がどんどん便利になって運動不足となり、筋肉が落ち身体機能を衰えさせている。アンチエイジングのためには筋力をつけるレジスタンストレーニングが有効で、衰えた筋肉を出来るだけ刺激することが必要だ。