2010.2月号より

『 血管年齢 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


血管年齢の大切さ

 高血圧、糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞などの生活習慣病に血管年齢の上昇が深く関わっている。若々しい血管を目指すには食事、運動などライフスタイルの見直しがポイントである。

 血管の構造とはたらき

 血管の壁は内膜、中膜、外膜の3層構造になっている。内膜は一層の内皮細胞から成り立っており、血管をしなやかにする物質を分泌している。「プロスタサイリン」は中膜に作用して血管の弾力性を保ち、血液が 固まるのを防ぐ作用がある 。 また 、 「一酸化窒素」は血管の弾力性を保つ作用を持っている。中膜は血管が伸縮することで、血圧を受けとめる役割を持ち、外膜は血管を保護する役目をしている。

 動脈の老化は心臓の負担にもなる

 生活習慣病、肥満、喫煙などで内膜の内皮細胞が傷ついて血液の中の悪玉コレステロール(LDL)が入り込むと、酸化されたLDLはそこに沈着して粥腫と呼ばれる柔い固まりとなり、血管の内膜を狭くしたり閉塞したりする。粥腫ができて弱くなった内膜が破れるとそこに血小板が 集まり 、 血の塊 ( 血栓 ) ができる 。 この血栓が脳や心臓の血管につまり閉塞すると脳梗塞や心筋梗塞が起ることになる。一酸化窒素やプロスタサイタリンの分泌が低下すると中膜の平滑筋細胞が硬くなるために血管は硬くなる。血管が硬くなると結果として血流の脈波の伝播が速くなり、心臓に負担がかかり心臓が肥大したり、心不全になったりする。

 脈波から血管年齢がわかる

 手の指で触れる脈搏は心臓から押し出された血液によって生じた拍動である。動脈硬化が進行する程拍動(脈波)の伝わり方が早くなる。硬い金属パイプなどでは瞬時に伝播する。この原理を応用して、血管のしなやかさを評価する医療機器が実用化している。この機器には手足の血圧を同時に測定し求める方式と、指先にて加速度脈波を測定して末梢細動脈の血流動態を分析して求める方式とがある。この検査により血管老化度、血管年齢が求められる。いずれでも数分程度の短時間で測定・評価ができる。

 血管の老化を防ぐために

 まずは自分の血管年齢を知ることから始めることが出発点である。健康診断のオプションとしても行う場合が多い。その結果血管年齢が実年齢に加え 10 歳未満なら健康な血管、 10 〜 20 歳なら生活習慣病の疑い、 20 歳以上なら血管の老化がかなり進んでいる状態であることを示す。

 血管の老化を防ぐには食事や運動など生活習慣を改善することが必要である。高血圧や糖尿病のある人ではその治療が必要なことは云うまでもない。

 血管年齢を下げるには

 @しなやかな血管をつくる食事

 血管の老化を防ぐには食事の影響が大きい。内皮細胞に対してはいわし、あじ、さんまなど青背の魚がおすすめである。悪玉コレステロールに対処するのには大豆蛋白(豆腐や納豆)や水溶性食物繊維を多く含む海藻類やコンニャクなどが有効である。

 A有酸素運動が効果的

 まずは普段のペースで歩き、慣れて来たら徐々にスピードを上げていく。1分間の脈搏が 90 〜 110 回位を目標とする。ウォーキングで下半身の筋肉を使うとミルキング現象で全身の血流がよくなり、血管の老化防止に役立つ。

 血管年齢を下げるには若い内から

始じめるとメリットは大きいが 60 歳代、 70 歳代でも年だからとあきらめることはない。まず食事の改善と運動を習慣づけることが肝要である。