2009.12月号より

『 COPD 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


COPDとは

 COPDはタバコが主な原因となる肺の生活習慣病で、以前は慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれていたものの新しい病名である。世界では約6億人がCOPDに罹患しており、日本では推定 500 万人以上が羅患していると推定されている。一日に何度も咳をしたり、黄色の痰が出たりする症状はCOPDを疑わせる初期症状である。重症になると呼吸機能が低下し息切れのため体が動かせなくなり 、 酸素吸入が必要となり 、 QOL は著しく低下する。主因はタバコの煙や汚れた空気を長年吸うことによる肺細胞の破壊によるものである 。

 COPD実態調査

 製薬会社ファイザー社は 10 年以上タバコを吸っている 60 歳〜 90 歳の男女 600 人に実態調査を行い、今年8月1日(肺の日)に合わせて結果を公表した。

 年代とともに急増するCOPD

 COPDの疑いのある人は、 40 代で 20 %、 50 代で 69 %、 60 歳以上で 97

%を占めた。 50 代では 40 代の 3.5 倍と急増、 60 歳以上ではほぼ全員と高い割合でCOPDの疑いの人が急増する驚くべき実態が明らかとなった。

 喫煙者の健康意識

 スモーカーに対して「何が気になるか」のアンケートでタバコ代が気になるが 81 %を占めていた。COPDの疑いがある 40 代、 50 代では疾患のリスクがあるにも関わらずタバコ代が気になると回答した人が 86 %にのぼり、自分の健康被害が気になると回答した 82 %を上回った。更にCOPDのリスクは年代とともに急激に高まるが、自分の健康被害を気にす る人は年齢が上がるにつれ減少し 、 喫煙が身体に及ぼす悪影響への認識の甘さが露呈した結果となった 。

 COPDの疑いがある人に、長期間の喫煙習慣がCOPDという病気の原因であることを知っているかという質問に対して「知っている」と答えた人は 33 %と低かった。しかもCOPDの疑いが急増する 50 代においては他世代より低く、 50 代男性ではわずか 18 %に留まった。

 ニコチン依存症

 ニ コチンのもつ強い依存性により 、 心理的・身体的にニコチンに依存してしまい、ニコチンを摂らずにはいられない状態となる場合がある。COPDの疑いのある人のうち 68 %はニ コチン依存症であることが判った 。 一方ニコチン依存症の疑いのない人は 60 %であり、COPDの疑いのある人の方がニコチン依存症の人が多い結果であった。

 また喫煙者全体のうち 65 %はニコチン依存症であることが判明した。更にニコチン依存症の人のうち 17 %に はうつ病 、 うつ状態の疑いがあり 、 依存症ではない人の 6 %に比べ、うつ病、うつ状態の可能性が高いことも明らかになった。

 まとめ

 この調査結果より独協医科大学内科石井芳樹教授は次のようなコメントを述べている。 50 代、 60 代以上の長期間タバコを吸ってきている人ではCOPD発症の危険性が高いハイリスク群に属するが、自分の健康被害 を気にする人は逆に減少しており 、 高齢喫煙者の自分の健康に対する意識の低さが浮き彫りになった。加えてCOPDの疑いがある 40 代、 50 代では自分の健康よりもタバコ代を気にする人の方が多かった。最近タバコ代の値上げが議論されているが、値上げが実施された場合の意識がどう 変化するか興味あるところである 。

 タバコはCOPDや肺がんなどの肺疾患だけでなく、ニコチン依存症として心理的うつ病、うつ状態と身体 的にさまざまな悪影響をおよぼす 。 長年の喫煙習慣を断ち切ることは容易ではないが、一日も早く禁煙することが重要である。