2009.11月号より

『 健康寿命 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


健康寿命とは

 健康寿命とは世界保健機構( WHO )が提唱した指標で、病気、衰弱、痴呆などで要介護状態となった期間を平均寿命から差し引いて、活動的に人生を送れる期間の意味である。人生のQOLを高めるためには、平均寿命の延長ばかりでなく健康寿命を考えることが重要である

 健康日本 21

 平成 12 年厚生省は健康寿命を延ばすことを目的として健康 21 を公表した。 21 世紀をすべての日本国民が健やかで、心豊かに生活できる活力ある社会とするため、壮年期死亡の減少、健康寿命の延伸および生活の質向上を実現する目的で作成された。

 健康寿命の国際比較

健康日本 21 によれば、 日本人の 平均 寿命は 80.9 歳、健康寿命は 74.5 歳であり、いずれも 世界一である。世界の長寿国で は 一般に平均寿命と健康寿命の乖離が大きい。日本では その乖離は 6.4 年である。オーストラリ アでは平均寿命との乖離は 6.3 年、フランス・ 6.2 年 、スウェーデン・ 6.5 年、 スペイン ・ 5.9 年である。 長寿の上位五ヶ国での平均寿命と健康寿命の差は6年を超えている 国が多い。

 健康寿命を伸ばすための工夫

血 管年齢が重要なポイントである 。 血管年齢が実年齢より 10 歳以上高い場合には高血圧、糖尿病など生活習慣病に気をつけなければならない。青壮年では脳梗塞、心筋梗塞、心肥大 、 心不全などのリスクが高くなる 。 更に、この差が 20 歳以上に広がるとこれら のリスクは更に高まる。 日本脳卒中協会 の健康人 800 人の血管年齢調査では、 どの年代でも血管年齢が実年齢を上廻っていた。血管年齢の測定は両腕と両足首に器具をつけ、横にな って脈搏の伝わる速さの差と年齢、 血圧から血管年齢を算出する方法が採用されている。簡便で5分程度の検査時間で測れる。

 人は動脈と共に老いる

 これはフランスの学者オスラーの名言である。老化を防ぐには動脈硬化を防ぐことが最も基本である。この ためには食事と運動が重要である 。

 @血管の機能改善をはかる食事

EPA (エイコサペンタエン酸)は血液をサラサラにして血液の流れを良く し、 DHA (ドコサヘキサエン酸)は悪玉コレステロール、中性脂肪を減らす。これらはいわし、さんま、あじなど青背の魚類に多く含まれている。

 A悪玉コレステロールを下げる

 悪玉コレステロールの酸化を抑え血管がボロボロになるのを防ぐ 食材は大豆蛋白を多く含む豆腐、 納豆 、海藻類、コンニャクなどである。

 B血圧調整に役立つ食事

 ひじき、緑黄色野菜、バナナなどは摂り過ぎた塩分を排出させ、酸化ストレスを軽減し血管を保護する働きもある。また不溶性食物繊維を多く含むゴボウ、きのこ類などは食物の吸収を緩やかにするため食後の血糖値の急上昇を防ぐ効果もある。

 健康づくりの運動

 健康日本 21 では健康寿命を延ばすために身体活動・運動についても具体的な数値目標を設定した。健康の維持・増進に必要な身体活動・運動量は 65 歳までは性・年齢に関わらず3メッツを基準の運動とした。強度が3メッツ以上の身体活動とは日常 的な歩行(買い物・通勤)床掃除、 庭仕事、子供と遊ぶといった日常活動である。歩行では一日当り約 60 分( 10 分当り 1000 歩とすると約 6000 歩)に相当する。

 3 メッツ以上の運動としては速歩 、 ジョギング、ランニング等があげられる。約4メッツとな る速歩は時速 5.4 〜 6.0 qに相当する。 日常生活のなかに運動を習慣づけることが健康寿命を延すポイントのようだ。