2009.8月号より

『 ピンピンコロリ 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


暦年齢と体年齢

 同じ年齢なのに、若々しい人、老けてみえる人など様々で、老化にはかなりの個人差がある。人間には2つの年齢がある。生まれてから毎年重ねて来た暦年齢と現在の心身の状態を表す体年齢である。いくら健康的な生活をしていても、体年齢が暦年齢より 20 歳 も 30 歳も下廻わることはあり得ない。暦年齢は誰でも同じペースで歳を重ねるものであるが、体年齢は自分の努力で若返らせることができる。ポイントはいかに老化の速度を遅らせ、体年齢を若返らせるかであり、これがアンチエイジングのテーマである。

 何が老化をもたらすか

 人間の体は約 60 兆個 の細胞で構成されている。細胞のひとつひとつが役 割を分担し活動していることが 「 生 きている」ことである。しかし体の中には細胞を傷つけ活動を邪魔したり、時には殺してしまう元凶が存在しているのも事実である。その元凶がフリーラジカル(反応性が高い不安定な原子や分子)と呼ばれるもので活性酸素もその一つである。アンチエイジングを考えるとき活性酸素の害を防ぐ「抗酸化」の問題は重要である。活性酸素は血液中に取り込まれた酸素がエネルギーに転換する過程で発生し、体をサビつかせる作用をする。

 活性酸素とは

 呼吸によって体の中に取り込まれた 酸素の約3%が活性酸素に変わる 。 活性酸素は一方的な悪役という訳でなく、体内に侵入した細胞やビールスなどを撃退する大事な役割も果している。しかし増えすぎると正常な細胞を攻撃し、酸化させてしまう作用を伴い、これが体の老化を促進する原因となる。特に血管のサビつきは重大である。活性酸素は悪玉コレステロールや中性脂肪を酸化して血管壁に沈着し血管を 硬くし動脈硬化を起す原因となる 。 動脈硬化は脳卒中や心筋梗塞の原因とな る。またアルツハイマー・網膜症・ 喘息・腎不全・胃潰瘍などにも関与する。美容面でも活性酸素はシミ、シワ、かぶれ、ニキビなどに関っている。

 何が活性酸素を増やすのか

 体の内で活性酸素を増やすワースト3はストレス、紫外線、タバコである。その他大気汚染や激しい運動などがある。過度なストレスを受け続けると活性酸素をつくるホルモンの分泌が増え、緊張で血管が収縮して血管の老化をおこして来る。また激しい運動は活性酸素を急増させるので、あまり体の負担にならない有酸素運動を無理なく、楽しく続けることが大切である。

 抗酸化力の検査が可能に

 フリーラジカルを消去する体内の防御機能は歳とともに低下し 、 40 歳台では 20 歳 台 の半分以下になる。体のサビツキ(酸化傷害)が進行すると 免疫機能や新陳代謝なども低下し 、 癌にもなりやすい傾向となる。

 細胞の老化・損傷の程度(酸化ストレス)とそれを打ち消す力(抗酸化力)を検査し数値化する器械( FRA 54 ) が開発され、福島第一病院に設備されている。血液9 ml を採血するだけで約5分で結果がわかる。フリーラジカルは老化と成人病 ・癌とも密接に関与しているので 、 この検査は健康管理の面で威力を発揮している。酸化ストレスと抗酸化力の定期的点検・検査がいきいきした健康維持につながる。

 ピンピンコロリを目指そう

 今まで余り重要視されなかった老化という課題に対して、新しいアンチエイジング医学が広がり始めている。そのアイデアは死を迎えるまで元気でいきいき暮らすピンピンコロリの発想である。病気を治す段階から今や病気にならないための工夫と行動を実行する時代になって来た。