2009.8月号より

『 高血圧(その3) 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


日本国民の血圧水準

 現在日本では高血圧者は約四千万人にのぼると推定されている。国民の血圧水準は 1965 年 を頂点に徐々に低下し 、 同時に脳卒中による死亡率も低下してきたことから、高血圧の管理の重要性が指摘されている。血圧レ ベルが高いほど脳卒中 、 心筋梗塞 、 心臓不全、慢性腎臓病などの羅患率および死亡率は高い。また若年者から高齢者にかけても、血圧が高い程循環器疾患にかかり易く、また同時に死亡率も高くなる。

 メタボと高血圧

 メタボの要件の一つとしての血圧は 130 / 85 mmHg 以上である。かつて日本人の高血圧者は食塩摂取量がきわめて 多く 、 痩せている人が多かったが 、 近年男性では肥満を伴う高血圧者が増加して来ている。アメリカでは約 20 年以前からBMIが平均 28 以上の高度肥満者の増加が著しく、メタボに伴う 高血圧が大きな比重を占めている 。 一方、日本ではBMIは平均 23.5 前後であるが、男性では肥満に伴う高血圧が漸次増加して来た。

 正常高値血圧とは?

 高血圧治療ガイドライン 2009 によれば、高血圧は上の血圧(収縮期) 140 以上または下の血圧(拡張期) 90 以上と定められている。また正常血圧は 130 未満または 85 未満とされている 。 その中間帯の上が 130 〜 139 、下が 85 〜 90 を正常高値血圧と呼んでいる 。 140 〜 90 が高血圧の基準とされているのは、これを超えると高ければ高いほど高血圧の合併症つまり脳血管障害 ( 脳梗塞 、 脳出血 ) や心臓疾患(心筋梗塞、狭心症、心不全)にかかる頻度が高くなるからである。最近の研究によれば正常値高血圧であっても動脈の壁は厚くなり、心臓の働きにも影響することがわかってきたので要注意である。将来高血圧に発展していくのを防止するための対策をたてる事が肝心なことである。

 高血圧に対する対策

 @食事療法

 高血圧者の食事の注意点はまず塩分を控えることである。目標としては1日6g未満とされているが、塩分を控えるだけでなく栄養バランスの 取れた食事を摂ることが大切である 。 野菜や果物にはカリウムが豊富に含まれているので、カリウムは摂った塩分を排泄してくれる働きをするからである。ただし腎臓が悪い人は高カリウム血症になっては困るので注意が必要である。塩分の過剰摂取が血圧に対して良くないのであってナトリウム(塩分)は身体が適切に機能を果すために必要なミネラルで あることにも留意する必要がある 。

 A高血圧とアルコール・タバコ

 アルコールがすべてダメというわけではないが飲み過ぎると血圧が上がる。ストレス解消や気持ちをゆったりさせるために適量(日本酒2合位、ビール中ジョッキ1杯位、ワイングラス2杯位、焼酎 100 ml 位)は問題ない。タバコは強烈なリスクであり、高血圧への影響もある。受動喫煙を含め遠ざけるのが賢明である。

 B運動が大事

 高血圧対策で最も重要なのは生活習慣の改善で、運動は高血圧予防・改善に欠かせないものである。適度な運動はバランスのよい食事と車の両輪をなすもので、心身の健康を保ち、増進させるのに不可欠である。軽い運動でウォーキング、スポーツジムでのエクササイズ、水泳、エアロビクスなどの有酸素運動がおすすめです。まずは無理のない範囲で有酸素運動を日常的な習慣にする事が重要である。ポイントは運動を楽しみながら継続することです。高血圧や他に問題のある方は事前にメディカルチェックを行い安全対策を講ずることです。生活習慣の改善を続けても血圧が下がら ない 場合 は 降圧薬治療 が 必要 です 。