2009.6月号より

『 高血圧(その2) 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


血圧いろいろ

 血圧は時間帯や環境によって変化する。高血圧の診断は少なくとも2回以上の異なる機会における血圧測定に基づいて行われるのが原則である。 また血圧にはその時の状況によ りさまざまな名称がつけられている。

@診察室血圧

診察室における血圧測定は高血圧

診療のスタンダードである。不整脈のある場合、血圧測定は収縮期血圧(上の血圧)は過大評価、拡張期血圧(下の血圧)は過小評価しやすい。不整脈のある場合は3回以上の測定で不整脈の影響を除去することが必要である。

 A家庭血圧

 家庭血圧は特に血圧を下げる薬を服用している場合などに、過剰な降圧あるいは不充分な降圧を評価するのに役立つ。朝、起床後一時間以内、排尿後1〜2分の安静後、降圧剤服用前、朝食前等に測定するのがおすすめである。血圧自体は日々変動するものなので、多少の数値の変化に一喜一憂するのではなく、一定期間の推移をみることが重要である。

 B早朝高血圧

 血圧は一日のうちに上ったり、下ったりを繰り返している。通常は寝ている間は低く、朝方目覚める頃に急速に高まる。これは、体内時計によって目が覚める頃脳下垂体からコルチゾール(ストレスホルモンとも呼ばれる)が分泌され、血管を収縮させて血圧を上げ日中の活動開始に備えるメカニズムが働くことと、もうひとつは目が覚めると交感神経が働きノルアドレナリンが分泌され、血圧を上昇させ心拍数を増加させる作用のためである。朝方に脳卒中や心筋梗塞などの合併症がほかの時間帯より3倍も多いのはこのためである。早朝高血圧を治すには家庭血圧を見ながらの調節が必要である。

 C 24 時間自由行動下血圧(ABPM)

15 〜 30 分間隔で 24 時間に亘り血圧測定をすることは重要な情報となる。

 一般的に血圧は覚醒時に高値を示し、睡眠時に低値を示す。昼間のABPM平均値で 135 / 85 mmHg 以上、夜間で 120 / 85 mmHg 以上は高血圧が疑われる。

 D白衣高血圧

 診察の時に、普段よりも血圧がかなり高くなる人がいる。白衣を着た医師や看護師に測ってもらった時に高くなるので白衣高血圧と呼ばれており、診察の時の緊張のせいと考えられる。静かなところで落ち着いてから測りなおすと下っている人がみられる。従って診察の時だけの血圧判定は慎重を要し、家庭内血圧が大いに参考になる。

 E仮面高血圧

 仮面高血圧とは診察室で測る血圧が普段の血圧より低くなる状態である。正常血圧という仮面をかぶった高血圧という意味である。仕事に追われてストレスの多い人の中には診察を待っている間に仕事やストレスから開放され、リラックスして血圧が下がる人やヘビースモーカーなのに病・医院ではタバコが吸えないため普段より血圧が下がる人などがいる。又高血圧の患者さんで降圧剤を服用しているにもかかわらず、薬の効果が持続していない場合もある。

 F夜間高血圧

 Cの 24 時間自由行動下血圧測定によって夜間睡眠中血圧の平均が 120 / 70 mmHg 以上の場合夜間高血圧となる。更に夜間血圧が昼間の血圧に比較して高い夜間昇圧型は脳卒中や心筋梗塞などのリスクとなる。

 Gストレス下高血圧

 ストレス下高血圧の一つとして職場高血圧がある。肥満や高血圧家系の人に多いという特徴がある。その検出には 24 時間自由行動下血圧測定や職場での血圧測定が必要である。