2009.5月号より

『 高血圧(その1) 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


血圧のしくみ

 血圧の数値は話題になることも多いが、実際のところその数値の意味するところはどうだろうか。血圧を測る と2つの値が記録される 。「 上 」 は収縮期血圧 (最大血圧) 、「 下」は 拡張期血圧(最小血圧)である。心臓はポンプ機能で血液に圧力をかけて大動脈に送り出すが、血圧とはこの際の「血液の圧力によって血管壁が押される力」のことである。従って血圧は心臓から送り出される血液量(心拍出量)と血管の硬さ(血管抵抗)によって決まる。心拍出量が大きくなれば血圧は上り、血管抵抗が小さくなれば血圧は下がる。動脈硬化が進むと血管抵抗は増え、血圧は上る傾向となる。

「 上 」 の血圧 、「 下 」 の血圧

 心臓はポンプ作用によって収縮と拡張を1日 10 万回程くり返して動いている。収縮期には心臓は収縮し血液を勢いよく送り出すため、高い圧力がかかる 。 これが最大血圧である 。 次に血液を送り出した心臓は拡張して、肺で酸素化された血液を吸い込む。この時の血圧は最も低くなり、これが最小血圧である。

 血圧測定の原理

 血圧測定方式には2通りある。長方形のゴムの袋のついた「カフ」を上腕部に巻いて空気圧を加え動脈を圧迫し血液の流れを一時止める。その後空気を抜くと血液は再度流れ始める。この時に血液が血管にぶつかる音 ( コロトコフ音 ) を聴診器で聞いて測定する方法は病院などで採用されている。一方止った血液が流れ始める時に、血液の動脈壁に当った振動をセンサーでキャッチして測定する方法 ( オシロメトリック法 ) があり 、 家庭用はこのタイプである 。

 血圧の正しい測り方

 血圧は時間、環境、運動などによって変動し、一日を通して一定ではないので、きちっとした手順や環境を整えて測定する必要がある。血圧管理の第一歩は正しい血圧測定から始まる 。 ポイントは@あわただしい時、身体を動かした直後、トイレを我慢している時などは血圧が上っているので避ける。A血圧は時間によっても変動するので毎日同じ時間帯に測る。朝起床後一時間以内と夜の就寝前がおすすめ。Bカフを巻いた上腕を ほぼ心臓の高さと同じくする 。 Cイスに座り、背筋を伸ばし1〜2分位安静にした後測定を開始する。D血圧計は上腕部に カフを巻いたり 、 上腕部まで差し込むタイプがおすすめ。手首や指先で測る簡易タイプは末端の血圧に変動が大きいので 100 %信頼するのは危い。

 血圧のセルフコントロール

 血圧は短期間の測定で全体を判断するものではなく、継続的に毎日測定して記録をとっておくのが本来である。毎日同じ時間帯 ( できれば朝の起床後1時間以内、排尿後 ) と夜就寝前に最高血圧と最低血圧を記録しておくとセルフコントロールの目安となる。

 正常血圧と異常血圧

 現在血圧の基準として採用されているのは日本高血圧学会のガイドライン(JSH)2009である。これまで血圧レベルの分類は軽症、中等症、重症に分類されていたが、改定された2009年版では軽症をT度、中等度をU度、重症をV度と変更された。軽度高血圧であっても高リスクの高血圧である場合もあるので 、 混乱を避けるための変更である 。 これによると至適血圧は収縮期血圧 120 mmHg 以下/拡張期血圧 80 mmHg 以下である。正常血圧は 130 〜 139 / 85 〜 89 である。高血圧の分類としてT度高血圧は 140 〜 159 / 90 〜 99 、U度高血圧 160 〜 179 / 100 〜 109 、V度高血圧 180 以上/ 110 以上である。このガイドラインの血圧とは医病院で医師又は看護師により測定された血圧の意味である 。