2009.4月号より

『 がん 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


がんという病気

 日本人の平均寿命は今や世界で最も長くなってきた。一方死亡原因は 20 年前から脳卒中に変わってがんが第一位となり、約3人に1人はがんで亡くなっている。世界中でがんに関する研究が続けられており、今では がんも治せる病気になりつつある 。

 増えたがん・減少したがん

 昭和 40 年(1965年)頃から男女ともそれまでトップであった胃がんの死亡率が減少し始め、最近では肺がんによる死亡がトップになってきた。女性では子宮頸がんは急速に減少している。肺がん、大腸がん、女性の乳がんの増加傾向がみられ、がんも欧米型に近づいてきている。

 診断・治療の進歩

 がんの治療では手術切除が基本である。内視鏡や特殊なレントゲン検査の進歩により早期診断が可能となり、今日日本ではがんが治癒した人は100 万人以上に達している 。 早期がんはほとんど 100 %の治癒率であり、今まで治り難かった肺がん、肝臓がん、膵臓がんなども早期に発見さえすれば結果は良好になりつつある。更に外科手術後の機能の温存、副作用の対策等も進みQOLは良くなってきた。又、放射線療法、ホルモン療法なども行われている 。

 緩和ケア

 緩和ケアとはがんに伴うつらい症状を緩和し、患者さんが日常生活を快適に過すことを目的とした医療である。より良いQOLが得られるように緩和ケアの取り組みが進められている。がんの患者を苦しめている激しい痛みは適切なモルヒネ等の使用により確実に痛みをコントロールすることができる。更に、痛み以外の様々な症状の治療や精神的苦痛を緩和 する方法も大きく進歩している 。

 がん克服をめざして

 私達にとってがんにかからないこと、がんを未然に防ぐことができれば最も望ましいことである。昭和 59 年から「対がん 10 ヵ年総合戦略」が実施され、平成6年からは「がん克服新 10 ヵ年戦略 」 として推進されている 。 官民一体でがんの本態解明の研究を国際協力のもとに行い貴重な種々の成果をあげている。

 がんを防ぐ 12 カ条

 日常生活に気をつければ、ある程度がんを防ぐことが可能であることがわかってきた。がん研究振興財団はがん予防の生活のヒントを 12 ポイントにまとめた。@バランスのとれた栄養をとる―偏食せず、できるだけ多くの種類の食品をとるA毎日変化のある食生活を―食事のワンパタ ーン化を避けるB食べ過ぎを避け 、 脂 肪は控えめに―腹八分目とする。 脂 肪 のとり過ぎは乳がん 、 大腸がん 、 前立腺がんなどに関連するCお酒はほどほどに―アルコール濃度の高い酒は食道がんのリスク、また飲み過ぎは肝臓がんのリスクとなるDタバコはだめ―わが国では肺がんがトップになったE緑黄色野菜をたっぷりと―ビタミンA、C、Eには発がんを防ぐ働きもある。F塩辛いものは少なめに、熱いものは冷ましてから―塩分を多くとる地域では胃がんが多い。胃や食道をいたわってあまり熱いものは冷ましてからG焦げた部分は避ける―魚や肉を焼いて焦がすと発がん物質となるHカビの生えたものに注意―ピーナツなどのナッツ類やトウモロコシに生えるカビの毒素には発がん性が認められるI日光には当りすぎない―紫外線は長時間浴びると細胞の遺伝子が傷つくJ適度なスポーツを―適度なスポーツを楽しむK体を清潔に―体を洗う設備の 不十分な地域に子宮頸がんが多い 。

 この 12 カ条を実行すればがんの 60

%(禁煙で 30 %、食生活の工夫でさらに 30 %)が防げるだろうと専門家は統計や実験から推測している。積極的に取入れては如何 !!