2008.10月号より

『 アンチエイジング医学 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


アンチエイジング医学

 アンチエイジング ( 抗加齢 ) という言葉は化粧品などの宣伝文句によく使われているが、本来のアンチエイジング医学とは人間の健康寿命を最大限に延ばすことを目的とした全く新しい総合的な医療を追求するものです。西洋医学の最先端の遺伝子の研究から東洋医学、運動療法、食事療法に至る幅広い分野まで含まれます。老化を食い止め、病気を未然に防ぐことは、まさに二十一世紀の人類に課せられた最大のテーマです。

 知らない内に老化はすすむ

 人間は誰でも勝手なもので「物忘れがひどくなった」、「視力や聴力が衰えた」、「セックスが弱くなった」など老化の兆候に気づくまでは「自分はまだ若いし大丈夫だろう」と思っているのが常です。自分の体になにか異変を感じたとき、慌てて体によいと宣伝されているサプリメントを飲んだり、食べるものを変えたり、慣れない運動を始めたりします。一度失った肉体の「若さ」は二度と取り戻すことは不可能です。ただ、老化の進行を食い止めることしかできません。

 老化を早める犯人は?

 人間の身体は約六〇兆個の細胞で構成されています。その細胞のひとつひとつがそれぞれの役割分担をして活動していることが生きているということです。その細胞が傷つき死んでいく過程が「老い」ということです。細胞を傷つける犯人は活性酸素などフリーラジカルという物質です。フリーラジカルは生きている限り、体の内で発生し続けます。この存在を知らないで老化を食い止めることは無理な話です。人の寿命は百二十年位が限界だろうと言われているが、フリーラジカル対策が完璧であれば、メタボや生活習慣病、がん、認知症などとは無縁で寝たきりにもならず、人生を楽しむことができるはずです。

 フリーラジカルから身を守るには

 私たちの体はいつもフリーラジカルからの攻撃に曝されています。一方、体の中にはその攻撃を防禦する物質も存在しています。これには抗酸化酵素と抗酸化物質の二つがあります。抗酸化酵素は体の各細胞で作られる成分で、体の内で起る化学反応 のスピードを早める働きをします。 しかし年齢と共に各細胞でつくられる量が減って来るのでフリーラジカルの攻撃を食い止めるには体の外から補給できる抗酸化物質の存在が重要なポイントになります。

 抗酸化物質で老化を防ぐ

 老化を食い止める最も有効な手段は抗酸化物質を補給し、フリーラジカルを消去してしまうことです。抗酸化物質のほとんどはふだんの食事に含まれているものです。日本人の食事が野菜中心の和食から肉中心の洋食に変ったため、今まで多くなかった心筋梗塞や大腸がんなどが増えています。また不規則な食事や外食は栄養分の偏りやカロリーの摂り過ぎとなりフリーラジカルの発生を促進します。結果としてビタミン類やミネラルなど抗酸化作用をもつ大切な栄養素の不足を来します。ふだんの食事と合せて、各人が必要とするサプリメントを飲むことも老化を食い止める有効な手段と言えます。自分の体に何が不足しているのかチェックすることが第一歩です。

 ピンピンコロリを目指そう

 今までの医学で見過ごされていた老化という問題に対して新しい智見が広がりつつあります。最近己の身体環境を知るアンチエイジングドックが一般化されつつあります。己の身体を知り老化現象と正面から向き合う時代となりました。死を迎える瞬間まで元気で生き生きと暮らす発想がアンチエイジングです。