2008.4月号より

治療より予防へ
『 メタボリックシンドローム 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


 近年動脈硬化に起因する脳卒中や心臓病などによる死亡が増加してきた。動脈硬化は生活習慣を改善することによって発症をある程度予防し得るものである。わが国の保健政策がメタボリックシンドローム(以下メタボ)をターゲットとして予防にシフトした背景には、現代の医療環境が大きく影響している。厚労省は平成 27 年までにメタボとその予備軍 2000 万人を 25 %減、医療費2兆円の削減数値目標を設定している。

メタボの元凶は内臓脂肪蓄積

 最近「ズボンがきつくなった」、「おなかがぽっこりしてきた」は危険信号です。日本人は内臓脂肪がたまる「りんご型肥満」(上半身型)になり易い体質がある。この内臓脂肪は糖尿病、高血圧,高コレステロールを誘発し、動脈硬化がもたらす疾病の基礎となります。

メタボの主指標は「ウエスト径」

 メタボの基準ではウエスト径を最も重要視しており、立った姿勢で息を吐いて、臍の高さに巻尺を巻いて 測るのが原則です。基準では男性 85 センチ以上、女性 90 センチ以上とされています。加うるに高血圧( 130/85mmHg 以上)、 高血糖(空腹時 110 mg/dl 以上) 及び高コレステロール(中性脂肪 150 mg/dl 以上) の内 2 項目以上該当すればメタボと診断されます。ウエスト径や高血糖の基準には若干異論もあり、男性 90 センチ、女性 80 センチ以上とする説や、血糖は 100mg/dl とする、より厳しい説もあります。

 新たにスタートする「特定検診」

 本年4月から 40 〜 75 歳を対象として新しい検診システムがスタートします。従来の健康診断では単に結果を説明するのみでしたが、今後は指導を必要とする人には確実に指導を行うことが義務付けられました。受診者も、面倒だから・・・という訳には行かなくなります。指導が必要とされた人は先々生活習慣病のリスクが高い人であるが、現時点では普通

に日常生活を送っている人が大半で す。健康に対する「転ばぬ先の杖」の意識改革が必要とされます。又服薬しているため検診の結果が一応基準を満たしている人においては、生活習慣の改善のためのきめ細かい指導が特に重要となります。

1 に運動、 2 に食事、しっかり禁煙、最後にくすり

 運動―体のエネルギー消費はまず血液の糖分、筋肉などのグリコーゲン、次いで中性脂肪という順番で消費するので、メタボ対策の運動としては中性脂肪を燃焼することが必須です。酸素を充分に取り込む有酸素運動、ウオーキング、水泳、体操やゴルフ・テニスなどが適しています。問題は長く続けることです。

 食事―規則正しい食生活を行うことが肝腎です。規則正しい食事とは朝食を抜いたりせず、 3 食をきっちり食べることです。朝食抜きはかえって内蔵脂肪が貯まりやすい状態となります。又夜食はエネルギーとしては消費されず、脂肪細胞に蓄積され、内臓脂肪が増えてしまう結果になるので要注意です。

 禁煙―タバコの害は肺、食道など多くのがんの原因となるばかりでなく、脳卒中、心筋梗塞などの原因ともなります。又最近は間接喫煙の害も指摘されています。煙草を吸う人は自分のためばかりでなく、周囲の人のためにも禁煙の要ありです。

 クスリ―糖尿病、高血圧症、高コレステロールになっている人では、まず自分に適した運動を心がけ、生活習慣を改善することが重要です。これによって軽症の人では薬から離脱できることもあります。「薬を飲めば安心」ではなく運動習慣や生活習慣を見直すことが健康維持への第一歩です。